8月26日「木の葉侍・口入れ屋人道楽帖」花家圭太郎 20086月発行 ★★★★

 花家圭太郎は1998年「暴れ影法師」でデビュー、主人公・花の小十郎は舌先三寸で一滴の血も流さずに最大のピンチを最大のチャンスに変えてしまうトボケた男、今回の羽州浪人・永井新兵衛は特異なキャラを持つ点では似たところがある。金を掏られて行き倒れたところを口入れ屋の庄三郎に救われる。まるで水面を流れる木の葉のような新兵衛の人柄に惚れたのだ。花家圭太郎の得意のパターンに乗せられてしまう。

8月22日「チーム・バチスタの栄光」海堂尊 20061月発行 ★★★★

 海堂尊は現役の医師として現代日本の医療問題をとりあげた小説を書いている。『このミステリーがすごい!』大賞を受賞しデビューした新人だ。今年(2008)「チームバチスタの栄光」が映画化され全国公開(主演・阿部寛、竹内結子)され話題となった。昨年、多摩川図書館に予約を入れたが予約待ちが300人以上と言われ驚いてキャンセルした。春先にもう一度調べてみたがまだ200人待ちだった。どうしても気になり、インターネットネット通販で古書を520円(本代180+送料340)で手に入れた。
 心臓手術で神がかり的な実績をもつ医療チーム(チーム・バチスタ)に3例立て続けに術中死が発生。神経内科の万年講師・田口公平に内部調査の依頼がくる。単なる医療ミスとはとうてい考えられない異様を感じながら、手掛かり一つ掴めず悩む田口のもとに厚生労働省の技官と自称する白鳥圭輔が現れる。この白鳥の特異なキャラと愚鈍さを隠さない田口とのコンビが絶妙だ。医療小説はあまり好きではない私も、ハードカバー本364ページを一気読みしてしまった。

8月18日「秋の蝶・立場茶屋おりき3」今井絵美子20084月発行 ★★★

 今井絵美子は始めて読む。様子見にシリーズ3作目を読んでみた。短編5話で構成され、どの話もしっかりと書かれ、それぞれ心に響くものを感じた。江戸時代の武士言葉に対し、ここでは町人が使っていた江戸弁が面白い。宇江佐真理の「髪結い伊三次」では深川芸者・お文のチャキチャキ深川弁がなんとも小気味いいが、こちらは色町品川宿の品川弁とでも言うのだろうか、一味違う江戸弁だ。連作第1巻から読みたくなった。難点は台詞がとにかく長い。1ページをエンエンと使って、括弧を閉じる。もしもこれをドラマ化しょうとしたら、役者もシナリオライターは苦労するだろう。

8月12日「祇園詣り・京奉行長谷川平蔵」秋月達郎 20074月発行★★★

有名な火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵、実は父の名も同じ平蔵であった。父は江戸っ子で、頭も切れれば、腕も立つ、儀侠心にあふれる粋な人物だ。その父・平蔵が京都西町奉行に就任した。京の都の四季折々を舞台に、初代平蔵の名裁きを披露する。シリーズ第1弾は、贋坊主退治「六道阿闍梨」と、部下を思いやる「這っても黒豆」の二篇を収録。第二代平蔵も銕三郎の名前で脇役として登場、シリーズものなので、その内に活躍するのだろうか。 秋月作品は始めて読んだ、話の筋書きも面白く、読み終えての感動もあったのだが、途中の説明がくどくてテンポが悪い。更なる展開を期待して、ページをめくると解り切っている説明がまだ続く。★を4個と思ったが減点1にした。次号に期待する。

8月6日「やがすり信助捕物控」 牧南恭子 20081月発行 ★★★

過去の辛い思いでから逃げるように信助は、放蕩三昧の日々を送っていたが、ついに父・呉服屋の当主から勘当されてしまった。しかたなく叔父の古着屋に居候を決め込み、商いの手伝いをすることになる、そんな折、隣家の妾宅で大店の主人が何者かに殺害された。八丁堀同心・橋口鋭之助はどういう訳か、信助を頼り小用を言付けてくる。
 この小説を読み終えたとき、なぜか懐かしい気分に浸った。銭形平次の世界だ。しかし実際に私は野村胡堂の銭形平は読んではいない、映画かテレビの、それも何十年も前のことだ。何故なのだろう?前日に読んだ鳥羽亮のバッタバッタの、人切り小説の反動かもしれない。

8月3日「紅花ノ邨・居眠り磐音江戸双紙26」佐伯泰英2008年7月発行 ★★★★

 磐音のもと許婚、奈緒の嫁ぎ先である、山形紅花商人・前田内蔵助が藩の内紛により窮地に立たされた。奈緒の幸せを願う磐音は、吉原会所の若衆二人と急遽奥州へ旅立つ。相変わらず心の癒される小説だ。
 序だが、いまNHKで放映中の「居眠り磐音江戸双紙」に一言。磐音を演じる山本耕史は、お人形顔で剣客としては迫力に欠ける。おこん役の中越典子だが、深川小町と噂される美人で、浮世絵師が触手を伸ばしたくなる類の美人なのだ、美人も色々な見方があろうが、ちょっとイメージが異なった。

※コピー、転載はご遠慮ください。