1022日「海戦・交代寄合伊那衆異聞11」 佐伯泰英 20099月発行  ★★★

 名手・佐伯泰英も最近はどうもお疲れぎみのようだ。繰り返しの説明が多すぎて、あきらかに水増し小説と言われても仕方が無い。

1020日「罪深き海辺」 大沢在昌 20097月発行 ★★★★

 さすが大御所、ハードカバー500ページの大作だが、久しぶりに一気読みをした。財政破綻寸前の地方港町に、亡くなった大地主の遺産相続人と自称する男が訪れた。その瞬間から町の様子が異様に変化してゆく。のんびりとした導入部から一転、最終のどんでん返しまで、息をもつかせぬ展開に完全にしびれた。中だるみを感じていた最近の大沢作品だが、このハードボイルド・ミステリーは秀逸だ。
 1018日「内閣特命班12」 今野 敏 20097月発行 ★★★

 作者・今野敏自身が空手三段、棒術四段の腕前で格闘技小説を多数書いているのは知っていたが、私は食わず嫌いというか格闘技小説にあまり興味が無く、専ら彼の警察小説を読んでいた。最近中身のうすい時代小説に飽きがきていたので、ハズレの少ない今野敏作品から、あまり期待せずに格闘技小説に手を出してみた。日米貿易の不均衡に不満を抱くアメリカの秘密結社が、CIAを使い日本国内でテロまがいの暴挙を企む。公にせず彼らを密かに迎え撃つのが内閣特命班の調査員・秋山隆行ら3名だが、それぞれプロ並みの、あるいはそれ以上の格闘技術を持つ男たちだ。①遊撃捜査、②徒手捜査、ともに結構楽しめた。しばらく格闘技小説の追っかけをやってみるつもりだ。

1016日「雨晴れて・朝帰り半九郎」 早瀬詠一郎 20099月発行 ★

 新人のデビュー作品かと思って調べたら、作家歴10年のベテランだった。場面ごとの描写はちゃんと書けているのだが、思い付きで書いているのか筋書きが場当たりで、支離滅裂。逆に最後をどうまとめるのかと興味がわき、妙な小説を最後まで読んでしまったが、これは酷すぎる。

1013日「毘沙侍降魔剣12」 牧 秀彦 20093月発行 ★★★

 先に「毘沙侍降魔剣2・母」を読み、剣戟小説一本やりだった牧秀彦らしくない作風に興味をもち、あらためて第一巻を借り出した。旗本の次男坊・松平清之介は、無法者を始末する闇の集団「兜跋組」の頭目・竜崎沙王に単身闘いを挑んだが、「このまま死なすにゃ惜しい。俺の組に入れ」。妙な因縁で顔を合わすことになったが。やがて友情が芽生え「兜跋組」に加わり毘沙門を名乗り沙王の右手となっていく。 牧秀彦としては、一風変わったシリーズになるのか、期待してみる。

 
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