829日 「旗本四つ葉姉妹」 牧南恭子 20097月発行 ★★★

 お家の危急を救うため、次女の双葉はある決意をする。旗本の箱入り姉妹と八丁堀同心の可笑しく切ない恋物語。語り口はのんびりとしいて、途中、多少イライラさせられたが、徐々にペース引き込まれてしまった。シリーズ物か単発か分からないが、連作物なら次回も読んでみるつもりだ。

824日 「笑う幽霊・余々姫夢見帖」 和田はつ子 200710月発行 ★★★

 夢の中に過去の人物が現れ、思いを託される、不思議な能力を持つ将軍家のお姫様が、事件を解決していく。和田はつ子はホラーものが得意の作家だが、この作品は軽いタッチで書かれているので、体の血が逆流するような怖さは無い。女阿部清明を将軍家のお姫様にしてしまった。

816日 「進之介密命剣・忘れ草秘剣帖」 森 詠 20097月発行 ★★★

 開港を間近にひかえた横浜神奈川の浜に、瀕死の重傷を負った若い侍を乗せた小船が打ち上げられた。回船問屋宮田屋の娘・おさき等の介抱で一命は取り止めたが。過去の記憶を一切、失っていた。
 作者森詠はデビュー以来、冒険小説、サスペンス等、現代もので多くの作品を発表してきたが、2年ほど前から時代小説にも手を染めるようになった。まだ板についていない様子も見られる。

812日 「鷺と雪」 北村 薫 20094月発行 ★★★★

富豪の令嬢・英子と家庭教師兼女性運転手・ベッキーさんが活躍する素人探偵シリーズ。 日本にいるはずのない婚約者が写真に写っている。つぎつぎと起こる妙な事件の謎をコンビが解き明かしていく。しかし、一見平和で些細な現象が、やがて昭和112月、日本の国が軍事大国に突入するきっかけとなる、226事件とも絡んでくる。今年度、直木賞受賞作品。

89日 「寂しい写楽」 宇江佐真理 20097月発行 ★★★★

 つづけて、江戸浮世絵師の小説を読むことになった。時代は若干遡るが、「鬼振袖・国芳一門浮世絵草紙」と登場人物の何人かはダブっている。ここでは、謎の絵師・写楽は能役者・斉藤十郎兵衛説をとっているが、実は、名を成す前の、十返舎一九、北斎、山東京伝らが蔦谷重三郎に頼まれ手を貸している。写楽を扱った小説は必ず売れる。時代小説作家ならみんな一度は、手がけているのではないか。

85日 「利き男・隠密廻り朝寝坊起内3」 木村友馨 20098月発行 ★★★★

 政治的思惑から将軍直々に下手人探索を命じられた南町奉行、根岸鎮衛は、隠密廻りのわが子、売れない読み本作家・朝寝坊起内にこの命を託した。木村友馨2005年のデビューだが、もはや新人作家を脱皮、期待通りに堂々ベテラン作家の風格を感じる。

83日 「鬼振袖・国芳一門浮世絵草紙3」 河治和香 20096月発行 ★★★

 「鬼振袖」とは薹の立った娘の振袖姿のこと。浮世絵師国芳の娘・登鯉は19歳になり、甘い娘時代からそろそろ年増とよばれる年になった。一方、父親・国芳は相変わらずの即席頓智で発禁覚悟の諷刺画を描きまくって世間の喝采を浴びている。河治和香は2003年にデビュー、6年間で6冊、マイペース作家だが、決して書きなぐりでなく、丁寧な文章に好感がもてる。

 
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