7月23日「化粧堀・深川鞘番所4」吉田雄介 2009年2月発行★★★
 大身旗本の次男坊・戸田尭之進を頭とする一党が、深川一帯でヤクザ顔負けの暴挙にでる。鞘番所支配・錬蔵は深川を守るべく立ち上がる。旗本相手に秘策はあるのか。この「深川鞘番所」シリーズも4冊目になる、守備範囲が限られているので、そろそろマンネリ化してきた。深川の遊里のイザコザ解決だけでは変化に乏しい。
7月21日「子連れ用心棒」 沖田正午 2009年2月発行★★★
 御前試合でライバルに打ち勝ち、藩の剣術指南となった秋葉竜之介だったが、直後に、唯一の肉親であった妹が切り殺され、信頼していた義弟も下手人と疑われ逐電した。残された甥っ子・鉄太郎を背負い、真相を探すべく、江戸に出てくる。「丁半小僧」でデビューした
沖田正午の二番目のシリーズ。次号も期待してチェックするつもり。
7月19日「しだれ柳・一膳飯屋『夕月』」荒崎一海2009年5月発行★★★
 書下ろし文庫作家・荒崎一海が月刊小説誌に連載、前作「寒影」に次ぎ2冊目のハードカバー出版、これは出世と言っていいのか。「夕月」の主・片桐晋吾は将軍の食事を調理する御膳所御台所人の三男坊で、無海流という小太刀の使い手である。剣戟場面もあるが、剣客小説ではない。「夕月」で客に饗する料理の説明が延々と続く。奥書の参考文献の数が50冊を超している、池波正太郎もビックリの剣客と料理のコラボ小説だ。
7月16日「相剋・密名21」佐伯泰英 2009年6月発行 ★★★★
 非凡の若武者・神保桂次郎を伴い修行のため江戸を立った惣三は、偶然にも奥州仙台藩で息子清之介の所在を知る。確かに一気読みの出来る作品だが、そろそろマンネリを感じる。
 北村薫の「鷺と雪」に2009年直木賞が決定した。審査員のコメントに「北村薫氏の作品には無駄な表現が無い」とあった。佐伯泰英の作品を読んでいて、最近、気になることがある。主人公の清之介にしても、『居眠り磐音』も、『鎌倉河岸』の政次も、あの有名な清之介、あの有名な・・・と、とにかく繰り返し噂が囁かれ、フアンへサービスの積もりなのだろうが、そろそろ鼻についてきた。これも「無駄な表現」の一つではないのか。
7月5日「千里耳・つぐない屋お房始末帖」牧南恭子2009年6月発行 ★★★
 表稼業は着物の洗い張り屋だが、副業の人探しでも知られている。身内に「千里耳」といって因縁ある品物から、過去にまつわる話し声を聞きだす才能をもつ娘がいる。木村友馨の「天眼通・お蔦」の超能力者・耳版ということか。あくまで脇役でヒントの提供程度だが。
7月2日「地獄太夫・やなぎばし浮世亭秘め暦」森真紗子2009年6月発行★★★
 遊郭・吉原で遊女と客の悲恋物語を過去に遡るように、オカルト風に書き上げていく、作者特有の書法。読者にとって好き嫌いが分かれるところか。
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