330日「剣客春秋・彦四郎奮戦9」 鳥羽亮 20093月発行 ★★★★

 平成の「剣客商売(池波正太郎)」と宣伝され七年前、出版側も力が入りハードカバーで売り出されたシリーズだ。「剣客商売」は父と息子だったが、こちらは父と娘だ、娘・美里も小太刀の使い手だったが、やがて道場の弟子彦四郎と恋におち結婚、今は年老いた道場主・藤兵衛にかわり師範代として弟子たちの指導にあたっている。作者も11冊のペースで丁寧に書いていて安心して読める。

328日「子隠し船・風列廻り同心青柳剣一郎12」小杉健治 20092月発行 ★★★

 このシリーズも5年間続いている、独りの主役が限られた場所での事件を解決して行くとなると、他の作家が扱った事件と同じ題材を扱うことが多くなる、今回は子攫いだが、いくら味付けを変えようと、なんとなく先が見えてしまう。ベテランだけに最後まで読ましてくれるが、そろそろマンネリか。

326日「命賭け候・浮世絵宗次日月抄」門田泰明 20082月発行 ★★★

 作家・門田泰明は、医療サスペンス、企業サスペンスで1982年にデビューし注目を集めた。その後に書いた「特命捜査官・黒木豹介」がヒットし、「黒豹シリーズ」として10年間近く、おそらく30冊ちかく書き続けた。当時、あのダイナミックで迫力のある文章に惹かれ、次刊の発売が待ちどうしいくらい夢中になり、むさぼり読んだ思い出がある。

 その門田泰明がある日、時代小説作家に転向した。私は佐伯泰英と争う人気作家になると信じていたが、転向後5年間で5冊発表、私の期待は裏切られた。剣戟場面は、昔とった杵柄で迫力があるものの、どれも皆ぬるま湯に浸かった様な時代劇ばかりだ。

322日「スクープ」 今野敏 20082月発行 ★★★★

 これも1997年の「スクープですよ」を改題して再発行したものだ、今野敏が作家デビューしたのは、三十年以上前の1978年のことだ。以来休むことなく書き続け作品数は150冊を超えている。最近は、華々しくデビューしナントカ新人賞を受賞し、そのあと数冊を書いてネタ切れになり、鳴かず飛ばずになってしまう作家が非常に多い。一流と二流の差は水準以上の質を保ちながら書き続けられるかどうかで決まる。

318日「天空剣の蒼風」 牧秀彦 20088月発行★★★

 サブタイトルは無いがシリーズものである。根津権現前にある辻番所の主・留蔵を中心に悪を懲らしめる仲間が集まる。喜安幸夫の「番小屋シリーズ」に似ている。第1巻の「辻風の剣」いらい8冊目になる。今回は新しく仲間に加わった旗本の倅・誠四郎の活躍が主に描かれているが、「あわや危機一髪に鞍馬天狗が」的な、その時偶にが多すぎるのを気にせずに読める読者ならマア楽しめる。

38日「特殊防諜班・連続誘拐」 今野敏 200812月発行 ★★★★

 20年前に出版されたものを改題し、発行されたにも拘らず時代的な違和感がない。今野敏といえばまず警察小説となる。私も「警視庁科学特捜班」シリーズは6巻とも完読している。この主人公・真田武男は自衛隊習志野第一空挺団、レンジャー部隊の訓練を抜群の成績を残し、選ばれて特殊防諜班の組織に身をおくエリートである。宗教団体の教祖のみが誘拐される事件が相次ぎ、真田武男に探索の命が下る。やがて世界規模の陰謀と、自身を含む古代からの血の伝承に巻き込まれていく。

33日「パイロット・イン・コマンド」内田モトキ19993月発行 ★★★★

 作者・内田モトキのデビュー作品である。前回、読んだ「拒絶空港」の興奮が忘れられず3冊目を借りてきてしまった。そして思わず唸ってしまった。今年1月にUSエア機がエンジンに鳥を吸い込み、ハドソン川に不時着したが、すぐその後にノースウェスト機が成田上空で乱気流に巻き込まれ、多数の負傷者を出した。10年前に書かれたこの本の中にも、全く同じ状況が書かれているのだ。航行中に不測の事故が起こる、しかも、それが二つ、三つと重なることもあり得る。機長も、パーサーもマニュアル通りには動くことが出来ない。
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