11月25日「恋慕船・深川鞘番所」 吉田雄亮 200810月発行 ★★★

大滝錬蔵は、奉行とつるんで米買い占めにかかわる越中屋を捕縛したために左遷され、島流しともいえる深川大番屋支配を命じられたのだ。錬蔵は、富岡八幡宮でヤクザ風な男たちにいたぶられていた女掏摸お俊を助けた。錬蔵はお俊を大番屋に匿うが、男たちは執拗に追い続ける。掏り取った巾着には奇妙な書付が入っていた。江戸の無法地帯を舞台に鉄心夢想流の剣が悪を斬る。

11月20日「終焉の必殺剣・同行屋家業5」 中里融司 20089月発行 ★★★

老中・田沼意次の失脚を狙うのは、次期将軍の父・一橋治済か。同朋衆(茶坊主)の泉阿弥は、将軍家治の病に使う薬が、毒薬と知ったその日から命を狙われる。同行屋の桜見歓十郎と露木雫は、一橋卿の放つ刺客団から泉阿弥たちを救出。一橋卿の娘で女剣士・千鶴、江戸の裏組織の大元締・白金の金兵衛らが絡み、同行屋達と刺客団の最終決戦に決着がつき、全5巻で完結

11月13日「沽券・吉原裏同心10」 佐伯泰英 200810月発行 ★★★★★

佐伯フアンの私が、数あるシリーズのうち「居眠り磐音」同様に楽しみにしているのが、この「原裏同心」シリーズだ。吉原の炎上にともない、妓楼や引手茶屋は仮宅営業を余儀なくされる中、吉原の引手茶屋で沽券状を狙った事件が頻発した。廓の危難に奔走する吉原会所と神守幹次郎の前に、沽券を売り、その後姿を消した茶屋夫婦の刺殺体が見つかる。沽券状を買い集める黒幕は誰なのか。吉原乗っ取りを策する真の狙いは何か。神守幹次郎の奮闘と姉さん女房・汀女との深い情愛ぶりが描かれている。沽券状とは権利証のようなものだったらしい。
 序でだが、このシリーズ「流離・吉原裏同心1」(光文社文庫)からの読本を是非に、お勧めします。何故この作品が★五つなのか、流れを解っていただけます。

11月8日 「ブラックペアン」 海堂尊 20079月発行 ★★★★

 あの「チームバチスタの栄光」の作者・海堂尊の医学ミステリー。「チームバチスタ」の番外編かと思っていたが、この作品はバチスタを読んでいなくても単独で読める。バチスタのように回りくどい記述がなく、読みやすい。一貫しているのは、患者の命のために医者はどうあるべきか。医者も人間として弱さや欲望や失敗もあるが、患者のために何をすべきかを考えた時に取るべき行動は見えてくる。バチスタのショックが大きかった分、★一つ減。表題の「ブラックペアン」だが、ペアンは手術や外科処置に用いる止血紺子の一種らしい。

11月5日 「天は長く・御家人風来抄」 六道慧 20088月発行★★★

 何ページも読まないうちに思い出した、テレビでも放映された、柴田錬三郎の「源氏九郎颯爽記」に似た設定だ。双方とも一人身で母上には頭が上がらない、源九郎の母上は金にうるさく美食を好み、鼓の名手で薙刀の使い手だ。一方、本書の主役・弥十郎の母上は金にうるさく美食好みは全く同じ、名の売れた書家であり墨相見をよくする。
 自殺に見せかけ殺された、もと遊女・おりょうが残した幾つかの謎の手掛かりをもとに、探索の結果、隠された真実に辿りつくのだが、途中、あまりにも乱暴な飛躍がめだつ。

11月1日 「千両花嫁・とびきり屋見立て帖」 山本兼一 20085月発行 ★★★★

連作短編集、7話で構成されている。京都三条通に間口4間の道具屋、「とびきり屋」を構える若夫婦が主人公。もともと二人は京都の老舗の道具屋、「からふね屋」の二番番頭とそこの娘さん。二人が夫婦となった経緯が1話目の「千両花嫁」で語られている。 道具の目利き、勤皇の志士や新撰組を絡めて、最後までなかなか読ませる。若夫婦の情愛の描き方も、従来の時代小説とは異なり、ほんわかとした温かみがあり、そこそこ楽しめる小説だ。

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