安方今昔

多摩川と六郷用水

国鉄線の開設と目蒲線、池上線の開通

安方神社

地名「安方」の変遷

戸数・世帯数の推移


多摩川と六郷用水

安方の歴史について語るには、どうしても多摩川の歴史から入らなければなりません。
大昔の多摩川は大雨が降るたびに、洪水を繰り返して、その流れを変え田畑を流すという荒々しい川で、この地域一帯は東京湾にそそぐ三角州であったと想像されます。

江戸時代の初期、関東に入国した徳川家康はまず、関東平野の開発を目的に、河川の改修工事を行いました。
この事業の一つとして、多摩川の水を狛江から取り入れ、六郷まで引き込む治水と新田開発のために、六郷用水を開削しました。

家康より用水奉行に任命された小泉次大夫は、当時、稲毛、川崎の代官でした。
代官は、まず安方村の名主(蔵方兵庫定を宿所として、六郷領内のすべての名主)を集めて、事業の内容と協力を要請をし、ただちに測量に取り掛かりました。

慶長二年(1597年)から15年に及ぶ大工事は終わり、全長約30kmに及ぶ用水路が完成すると、開発した新田によって米の収穫も増し、農民の生活も潤うようになり、徐々に人々が定着するようになりました。

その後も多摩川は、何回か大洪水をひきおこしましたが以前のように荒ぶる川の様相は、堤防の整備とともに落ち着きを見せるようになりました。 
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国鉄線の開設と目蒲線、池上線の開通

明治5年、新橋、横浜間で初めて汽車が走りましたが、しかし蒲田駅はまだありませんでした。熱心な誘致運動の結果、28年後の明治37年に、蒲田駅が作られました。当時はまだ東口駅舎しか無く、大正11年に蒲田駅西口の駅舎が完成しました。同年に池上電気鉄道㈱が蒲田から池上間の運転を開始しました。

一方、田園都市株式会社が、鉄道事業を始め、目黒蒲田電鉄会社ができ、大正12年11月に目黒、蒲田間が全通開通し、矢口駅は昭和5年5月に矢口渡と名前を変えました。矢口渡と蒲田の間にあった道塚駅(旧本門寺道駅)は、付近が戦火で焦土と化したのを機に昭和21年に廃止になりました。

昭和7年、矢口町は、蒲田町、六郷町、羽田町とあわせて東京市蒲田区となり、交通も大変便利な地域となり、これを契機に農村から住宅地に徐々に変貌を遂げ、多くの住宅が建ち、区外からの転入者で、世帯数、人口ともに、飛躍的に増大しました。


 
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安方神社

明治42年、安方字黒川にあった、八幡神社に、村にあった小祠の、天祖神社、釈護子神社、大六天社等を合祀して、安方神社と命名され、祭神は、応神天皇、和風諡号は誉田別尊でした。

この安方神社も昭和20年4月14日の夜、米軍機の空襲により、町とともに一瞬にして焼け落ち灰燼となりました。

昭和29年9月、安方神社再建の発起人会が発足し、第一期工事で、まず社務所を、第二期工事で社殿の再建が決まりました。

昭和33年11月の社務所の地鎮祭から昭和36年の社殿竣工まで、3年間というスピードで完成しました。
そして、建設資金はすべて氏子の奉納によるもので、戦後、心のよりどころを見失っていた人々の、氏神様への、熱い思いを推測することができます。

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地名「安方」の変遷

安方が地名として、最初に登場したのは鎌倉北条時代です。
江戸「安方村」。
次に前述の江戸徳川時代に、六郷領「安方村」。

明治2年 品川県「安方村」
明治4年 東京府第七大区四小区「安方村」
明治11年 荏原郡「安方村」
明治22年 荏原郡矢口村「安方」(蓮沼、道塚、小林、安方、原、今泉、下丸子、古市場、矢口の9ヶ村を併せて矢口村となる)
昭和3年 荏原郡矢口町「安方」(矢口村が矢口町となる)
昭和7年 蒲田区安方町(矢口町、蒲田町、六郷町、羽田町と併せて東京市蒲田区となる
昭和22年 大田区安方町(大森区、蒲田区と合併、大田区となる)
昭和42年 安方町は廃止、東矢口二丁目、多摩川一丁目となる。

 「安方」という地名は、前述のとおり昭和42年、住居表示の条例改正のさいに廃止されてしまい、現在は存在していません。
安方南町会は、大田区東矢口二丁目の一部と多摩川一丁目の一部で構成されています。  

現在、安方の地名を残す公共機関、施設等
安方南町会・・・ 昭和27年5月、安方会を南北に分割、安方南町会創立
安方北町会・・・ 昭和27年5月、安方会を南北に分割、安方北町会創立
安方ときわ会・・・ 昭和26年、安方明治会創立、のちに安方ときわ会に改名
安方神社・・・ 安方神社参照
安方中学校・・・ 昭和36年4月、安方町67番地に開校
安方郵便局・・・ 昭和13年4月、多摩川一丁目8番地5(現住所)に開局

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戸数・世帯数の推移

   戸数
(戸)
世帯数
(世帯)
人口
(人)
文化年間
(1804~1818)
24       
明治7年
(安方村)
26      
明治22年
(安方村)
30      
大正13年 38      
昭和6年 342      
昭和27年
(安方南北町会)
      5,200
昭和34年
(安方南町会)
   1,116   
昭和55年
(安方南町会)
   1,357  
平成6年
(安方南町会)
   1,446 3,157
平成13年
(安方南町会)
   1,595 3,246
平成16年
(安方南町会)
   1,636 3,219
平成17年
(安方南町会)
   1,664 3,248
平成20年
(安方南町会)
  1,720 3,233
平成22年
(安方南町会)
  1,778 3,262
平成24年
(安方南町会) 
   1,796 3,249
平成26年
4月1日現在
(安方南町会) 
  1,870  3,272 
平成27年
  4月1日現在
(安方南町会) 
  1,952  3,409 

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